郷土歴史覚書之扣

郷土の歴史をより詳しく書いき

善宝寺 本末関係について


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山門

 

本末略図

開山〜十九世迄


總持寺-龍澤寺-乗慶寺-善宝寺-末寺(34)

 

享保五年、本末争論以降


總持寺-五院普蔵院-善宝寺-末寺(41)

現在

總持寺-善宝寺-末寺(39)-孫末寺


善宝寺末寺数
享保度、34カ寺
延享度、41カ寺
現在、 39カ寺
内訳
庄内、 33カ寺
秋田、 4カ寺
新潟、 1カ寺
北海道、1カ寺 都合、39カ寺

末寺筆頭

藤島町、石頭山法眼寺

永享年間開創、開山2世天與是準大和尚

廃寺 

田川郡長滝村、長滝寺

開山 9世過欞紋牛大和尚か?

新規開創
北海道古木内町鶴岡 
龍雲山禅燈寺

明治31年5月23日開創

勧請開山34世別傳禪法大和尚

昭和初年、田川郡西郷村西沼
徳重庵、寺号に改める。
本寺替え、2カ寺

孫末寺院 33カ寺

内2カ寺廃寺


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本末系譜

26世大雲方丈様と龍王経②


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大雲方丈様と龍王経の続きになります🙇

 

大雲方丈様は、庄内出身の学僧・父幼老卵

様共に親しくされていて、大山祐性院や善

宝寺末寺、砂谷福重寺等に、歴住している。

また「老卵南桂」とも云う。

今に伝わる山門の「龍澤山」は父幼老卵様が、京都宇治興聖寺に住持していた時の書 である。この書は結構有名である。
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父幼老卵書「龍澤山」

 

さて、善宝寺で毎朝拝誦する龍王経は正式名称「大雲輪殿龍王楽経」と申し、八大龍王以下百七十三体の諸眷属の尊号を唱え、雨を請う陀羅尼を唱え、そして五十三体の如来の名号を読誦する。この龍王経は、元は雨乞いの経「大雲輪請雨経」といい、大蔵経密教部の部類に属し、日本には経文の異なる6つの大雲輪請雨経が伝わっている。1つに真言宗の不空金剛が訳した請雨経が伝えられている、然るに、善宝寺の龍王経はどれであるか、それは天竺の那連提耶舎と言う訳僧が訳した請雨経がそれである。詳しく言うと、天台宗穴太流の請雨経である。上下巻からなり、そのうちの上巻部分が大雲輪殿龍王楽経として善宝寺に伝わって来たのである。


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大雲輪請雨経上巻部分

 

この善宝寺の大雲輪殿龍王楽経は何処から出版されたのかと言うと、現在善宝寺で読まれている龍王経は、巻末に「龍澤山善寳寺蔵版」と書いてあるので善宝寺が版元である。この経本は昭和五十年代頃に檀信徒によって寄進されたもので、比較的新しい経本である。では善宝寺版の元となった経本があるのではないか、ここで善宝寺の寺史にも触れて調べていくと、寛政十年歳在戌午三月吉旦に防州(現在の山口県岩国市)の祥雲寺から請雨経が出版されている。これが善宝寺の龍王経の元である。当時の祥雲寺住持は知足丈観と言う人で、この祥雲寺も曹洞宗である。ここで大雲方丈と老卵様との関係も出てくるのである。
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防州祥雲寺蔵版

 

この防州祥雲寺は、老卵様が開山となった寺であるとされる。老卵様は同地善住寺の開山ともなっていて、岩国藩主吉川経倫公の帰依を受け開山となった。その祥雲寺から請雨経が出版され、それを知った大雲方丈様が、請雨経に帰依し老卵様に頼んで、善宝寺に請雨経を伝え、同経上巻部分を以て、大雲輪殿龍王楽経と名付けて今に伝わったのではなかろうか。祥雲寺版請雨経は上下巻が、合本となっていて上巻の終わりには、「是ニ於イテ、上下ヲ分テ二巻ト為ス。読誦之便ヲ以テ合テ一巻ト為ス」と漢文で書いてある。この文は善宝寺版龍王経の巻末にも同じ文言が書いてある。善宝寺でも請雨経自体長文であるので便宜上、上巻部分で区切るためにその理由として同文を載せたものと考える。が、大雲方丈の頃などは二巻共に読誦していた可能性もある?


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上巻、巻末部分

 

然るに、大雲方丈が請雨経に帰依し、以来240年間代々読誦され、現在は参籠祈祷時の「龍王祈祷」の時に拝誦され、独特な木魚のリズムで祈祷が厳修される。

龍王経は秘伝の経典とされ、全国でも今や読誦している寺院はないとされている。


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暁天祈祷時の本堂

 

今年は辰年御縁年の有難い年である、参籠して龍王経を拝聴するのもいいのではなかろうか。

長文ですが、読んで頂きありがとうございます🙇

26世大雲方丈様と龍王経①


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大雲方丈の「龍字」


大雲方丈は、諱を祥嶽、大雲と号した。

生国と生年月日共に伝わっておらず、善宝寺

昇住以前については余り分かっていないが、

善宝寺26世・面野山忠圓寺9世

温海長徳寺14世を務めた。

今から凡そ240年余り前の方丈様である。

大雲方丈様は、25世到岸孤峰大和尚の弟子

である。到岸方丈様が天明元年正月十七日

に示寂され、同年に後住として善宝寺に昇

住された。方丈の功績は大きく、天明六年

泉州堺港に於いて築港のおり、招かれて

安全祈祷を厳修し、満願円成となり、同年

12月に有栖川宮織仁親王が善宝寺龍神尊に

病気平癒の祈願を掛けられ、大雲方丈を請

して、上洛される。無事平癒されると、宮

は善宝寺に改めて帰依し、有栖川宮家祈願

所となされ、御紋付紫御幕・御提燈其れに

拝謁の際に、廣末一柄を下賜せられた。

翌7年には御紋付網代輿を賜り、制札を建

てる。大雲方丈の代に善宝寺の名声は全国

に迄及んだ事になる。享和3年6月20日

善宝寺に於いて示寂なされた。

 

歴住御墓地にひっそりと方丈様の墓はある。


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表 當寺二十六世大雲嶽大和尚禅師

裏 享和三癸亥六月廿日 示寂

 

大雲方丈と龍王経の因縁は、庄内出身の学僧

父幼老卵大和尚と繋がります。老卵和尚とは

師匠到岸方丈の頃からであります。

 

結構長文になるので、2回にかけて書き

ます💦

 

つづく、

 

 

 

龍澤山善宝寺住持歴代

 



善宝寺歴住様の事は余り知られていない

し、これから重要なので先に書いておく。

現在、庄内の曹洞宗寺院のなかで、大抵

總持寺派であり、その中で善宝寺の末寺、

孫末寺院はかなりの割合で占めている。

と、思われる💦

 

一応転載はしないで頂きたい。


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御開山御世代並亡僧尊宿御墓地

 

開基 龍華妙達大上人

開祖 大現宗猷国師峨山韶碩大和尚

          大本山總持寺二祖

開山 太年浄椿大和尚

          大本山總持寺311世

2世 天與是準大和尚

          本山421世

3世 傳翁文頤大和尚

          本山851世

4世 太陽文橘大和尚

          

5世 超巌黛越大和尚

          本山1411世

6世 到天可直大和尚

          本山1769世

7世 一山宗甫大和尚

          本山2150世

8世 玉叟芳丹大和尚

   

9世 過欞紋牛大和尚

 

10世 骨窓運徹大和尚

          五院普蔵院輪住

11世 徳翁俊學大和尚

          本山3661世

12世 竹巌嶺呑大和尚

 

13世 花翁元太大和尚

          本山5078世

14世 陽室清學大和尚

    本山5960世   五院普蔵院輪住

15世 鐵庵廓牛大和尚

                                       本山6845世

16世 夜光孫昨大和尚

          

17世 英屋白雄大和尚

    本山7476世 五院洞川庵輪住

18世 弘道慧遠大和尚

    本山10944世 五院普蔵院輪住

19世 時聖良乘大和尚

          本山1192世

20世 中興 靈感應傳大和尚

 

21世 性林覺了大和尚

          本山15325世

22世 大等覺仙大和尚

          本山15572世

23世 要津喝禪大和尚

     本山21689世 五院普蔵院輪住

24世 無弗徹周大和尚

          本山23149世

25世 到岸孤峯大和尚

          本山23801世

26世 大雲祥嶽大和尚

 

27世 無業太淳大和尚

          本山28949世

28世 凰山石鳳大和尚

          本山永平寺瑞世

29世 中興 大令宗覺大和尚

     本山35478世 五院普蔵院輪住

30世 彌天本提大和尚

 

31世 佛山観了大和尚

   姓日野

32世 月巌不傳大和尚

 姓高田 本山39474世 五院傳法庵輪住

33世 中興 月圓禪山大和尚

   姓水野     本山永平寺瑞世

34世 別傳禪法大和尚

   姓水野    本山48699世

35世 法運禪教大和尚

   姓吉泉    本山50680世

36世 圓明智禪大和尚

   姓吉泉

37世 中興 梅瑞月乘大和尚

   姓南間

38世 中興 月堂隆圓大和尚

   姓庄司

39世 天瑞玄明大和尚

   姓帯谷

40世 重興 黙運顕道大和尚

   姓五十嵐 本山西堂

41世 中興 劫世信義大和尚

   姓斎藤  本山副貫首

42世 全壱卓三大和尚

   姓五十嵐 本山西堂、現東堂様

43世 大徹雄大和尚

   姓水口 現住方丈様

 

以上歴住43世迄、開創1200年.開山500年

歴住様方は本山に瑞世したり、五院に

輪住した。

 

注、善宝寺は五院普蔵院の庵末であるが、

7世、32世様は善宝寺昇住前に輪住した

ものである。

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善宝寺御開山墓

 

 

参考資料、總持寺住山記

 

ブログ初心者です🙇

はじめに、ブログ書くに当りて一言

郷土史が好きな物です。興味のある方も、

ない方も、へーと少しでも思って頂けれ

ば幸いです🙇ここでは主に善宝寺等を詳

しく紹介して行こうと思っております😊

このご時世、絶対に誹謗中傷、ご批判も

有ると思いますが、何卒宜しくお願い申

し上げます。🙇💦


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辰年に因んで善宝寺禪山方丈の「龍字」