郷土歴史覚書之扣

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諡公文に観る 慧遠大和尚の弟子

前項に慧遠大和尚の事績を簡単に紹介しましたが、詳しく調べていくと同師の弟子に新たなる事が解ったので、此処に紹介したい。

 

生前慧遠大和尚には、嗣法者が系譜上良乘和尚(十九世)しか見当たらず、他の弟子はいないと思っていましたが、ある資料を見ていたら[善寶寺丿弟子]と書いてあるのを見かけ詳しく見てみると、師の名前に[弘道]と書いてありちょっと興奮気味になった次第w💦

その資料には總持寺の古文書目録の一つである「諡公文」の名簿でるとわかりました。

 

ここで諡公文とは、大本山總持寺には僧の各出世(一人前になるための資格、住職等今で言う瑞世の事)する為の証文・資格書が必要とされ、転僧公文・再公文・涅槃公文・首座公文輪番請状の五つの種類の公文があるとされている。

転僧公文は、現在の「瑞世」と同様、転衣取得のための公文であり、指摘のように特に問題はない。再公文は、すでに永平寺に出世してた僧が、五院輪住や新たな住職地の関係で、改めて出世をおこなった際の公文である。これは、『總持寺住山記』に散見される。首座公文は、別に「山居公文」とも呼ばれ、首座の段階での公文で別の名簿として残されている。輪番請状は、五院輪番にかかわる請状で、この名簿は五院輪住帳に準ずると考えらる。


f:id:tkdama:20240326105434j:image転僧公文(出世公文)の一例

 

 

注)「諡公文」とは、上記中の「涅槃公文」のことであるとされる。そこには、「涅槃公文は立職長老没後の和尚号であることはいふまでもない」とあり、立職した長老が没後に賜っていたことが窺われる。

その為名簿には[〇〇寺先住]とか[△△寺前住][〇〇寺何世]と記されている。

此の諡公文の名簿の表題は「諡公文住山記」としている。 

世代は不明な点がある為、一人々番号で分けられあとは[名前・年号日付・派名・出身国名・保証寺・保証人]の順番で書いてある。

その中で善寳寺の項目がありそこには次のように記入されている。

 

番号[370] 名前[恵白]            年号日付[元禄14辛巳08,08]  派名[太源]      本人丿寺[善寶寺丿弟子無寺] 国名[出羽]     保証人[弘道] 保証寺[善宝寺] 国名[出羽]    冠[諡公文] 証文[証文]             備考[本国・保国、出羽庄内大山]

 

と此のように書いてある。    


f:id:tkdama:20240326110014j:image諡公文の資料、上から4番目が恵白和尚

一様に考察すると、恵白は善宝寺の弟子即ち弘道慧遠大和尚の弟子ではなかったかと思う次第である。

曹洞宗系譜等にな載っていないが、慧遠の法を嗣ぐ前に示寂した為か?